10年半ぶりとなる南北首脳会談が実現した27日、佐賀県内の在日コリアンからは歓迎の声が上がった。歴史的な会談で融和ムードは一気に高まったが、焦点となった北朝鮮の非核化の行方には不透明さが残る。被爆者や北朝鮮による拉致被害者の支援者は、今後の米朝交渉の行方を注視する。

 「軍事境界線で2人が握手した時は涙が出た。感動した」。テレビで見守った在日本朝鮮人総連合会県本部の林丈一リムジャンイル委員長(75)は興奮気味に語った。会談では朝鮮戦争の終戦宣言についても議論され、「祖国統一につながる大きな一歩だ」と今後に期待した。

 在日本大韓民国民団県地方本部の朴弘正パクホンジュン団長(62)は「映像のインパクトは大きく、金正恩委員長のイメージが変わったのではないか。両首脳の本気度を感じた」と評価しつつ、朝鮮半島の「完全な非核化」を目指すとした共同宣言に方法や期限が盛り込まれなかったことに不満を示した。

 県原爆被害者団体協議会(被団協)の田中徹会長(77)=三養基郡基山町=も「『今持っている核をすべて廃棄する』など、具体的な言葉が聞きたかった。前進したという印象はない」と北朝鮮の姿勢に懐疑的な見方を示し、次に控える米朝会談に関心を寄せる。

 北朝鮮による拉致被害者の支援団体「救う会佐賀」事務局次長の熊谷美加さん(29)=佐賀市=は、文在寅大統領と米トランプ大統領が、金委員長との会談で拉致問題に言及する意向を示したことについて「南北会談の実現を含め、北朝鮮への経済制裁が成果を上げている。米朝首脳の直接対話は、拉致問題で成果を引き出す大きなチャンス」と注目する。

 一方、韓国のアパレル業界と取り引きがある経営者永松伸博さん(62)=小城市=は「平和ムードが続き、貿易の活性化につながれば日本にもいい影響が及ぶかもしれない」と期待を抱く一方、「今回の首脳会談だけで状況が打開されるわけでもない。韓国の業界は冷ややかに(首脳会談を)見ている」と冷静に受け止めた。

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