西ノ原大明神に伝わる悲話を曲にのせて語る北原香菜子さん=多久市多久町

 悲劇の死を遂げた多久家の姫をまつり、「安産の神様」として知られる多久市多久町の西ノ原大明神で19日、春の大祭があった。佐賀市の薩摩琵琶奏者、北原香菜子さんが創建の起源として伝わる悲話を演奏。鎮魂を祈る音色と語りに、県内外から訪れた約100人の参拝客が耳を済ました。

 天保8(1837)年、多久領10代領主・多久茂澄が寺院を併設する形で創建した。多久家の意に反して家臣の子を身ごもり、自害を迫られた7代領主茂堯(しげたか)の娘林姫の霊を鎮めるため、東多久町にあった寺を移したとされる。

 この由来を題材にした地元劇団のミュージカルが昨年完成。開創した高僧役に北原さんが特別出演した縁で、小寺成文(じょうぶん)住職(54)が奉納演奏を依頼した。

 北原さんは「歴史、物語を曲にのせて語り継ぐ琵琶奏者の役目を改めて認識した」と話し、前日まで熟考を重ねた15分間の旋律を、新緑がまぶしい境内に響かせた。

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