仕事帰りに嬉しいナイトミュージアム

 佐賀平野部では麦が青々と広がっている今、三瀬では稲の苗代づくりが始まる。春の花々にチョウが舞い、小さなミツバチが忙しくしている。果たして、林に置いた初めての和蜂の巣箱に彼女たちは引っ越ししてくれるだろうか。

 次女が高校に上がり、若い友人たちの寿の知らせが続々と届き、私たちの新しい居場所も開き、少しでも自分の時間をと思っていた頃、九州国立博物館で王羲之の書が見られると聞いて仕事の帰りに寄ってみた。

 中国4世紀、東晋時代の書聖の実物書を見ることができ、心揺さぶられた。私のような無知でも、自分自身の目で静かに見つめることで、何かが訴えてくる。何か分からぬが引かれる作品をじっと見つめる。この人の心には何があったのかと想像し、その美意識を感じる。九博の易しい解説もあって、以前よりぐっと能書家が近くに立っている。本やネットでは感じ得ない心の波紋が今も日常の暮らしや仕事の中で余韻として続いている。(小野寺睦・養鶏農家)

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