「孔門師弟成績図絵」より孔子をまつる儀式「釈奠(せきてん)」の場面

 孔子の生涯を絵と文章で紹介したものを「聖蹟(せいせき)図」といい、明・清時代の中国や李氏朝鮮、江戸時代の日本で流行しました。多久市郷土資料館所蔵の「孔門師弟成績図絵」は乾・坤の2巻、53の場面からなり、乾の巻には孔子の生涯、坤の巻には門弟たちの事績が収められています。乾・坤それぞれ20メートルを超える、長大かつ壮麗な巻物です。

 豊かな色彩で、衣服や風景は日本画風に描かれ、中には天・地に金雲を施すなど絢爛(けんらん)豪華なものもあり、見る者を楽しませてくれます。孔子は大男だったとされていますが、本作品ではむしろ小柄に描かれ、弟子の不慮の死を嘆き悲しむなど、人間味にあふれています。

 本作品はもともと佐賀藩鍋島家の庫裏にあったものでした。明治に入って博多の文房具店の店主に渡り、当時ばらばらだった53枚の絵に、依頼を受けた国学者海妻甘蔵によって説明文が付され、巻物に仕立てられました。しかし、本来あるはずの孔子の幼少期などの場面が欠けており、鍋島家から流出したあと散逸してしまったと考えられています。本作品のように、肉筆で描かれ彩色された聖蹟図は全国でも数点しか確認されておらず、大変貴重なものです。(志佐 喜栄・多久市郷土資料館)

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