人と人をつなぐハブ

 人気バンド「ポルノグラフィティ」やシンガー・ソングライターmiwa(ミワ)さんなど、人気アーティストのMV(ミュージックビデオ)を数多く手掛けたプロデューサーの堤俊典さん(33)=佐賀市出身=は、大手企業のCMや広告など映像制作の現場で幅広く活躍してきた。今年2月に東京から佐賀へ拠点を移した堤さんに、これまでの歩みや佐賀での今後の活動を聞いた。

 

インタビュー動画【前編】

インタビュー動画【後編】

 

物作りへの憧れ

 高校時代、堤さんは大学に行く理由を見いだせず、何のために勉強するのか分からなくなっていた。何となく大学に行くぐらいなら、やりたい事を突き詰めたい。幼い頃から物作りへの憧れがあり、テレビでライブの制作現場を見てその世界を志した。

 高校卒業後、東京の専門学校に進むための資金を自分で工面し、東放学園音響専門学校へ進んだ。そこでライブのマネジメントなど制作側のノウハウを学ぶ。

 将来は会社に来た仕事をするのではなく、「堤俊典」という一人の人間を信用して頼まれた仕事をやっていきたい。そのために、まずは才能の集まる東京で花を咲かせたかった。

 東京でできた知り合いからMVの現場に誘われたのをきっかけに映像業界に足を踏み入れる。技術的な能力が求められる監督や撮影ではなく、現場の運営や管理をするプロデューサーなら自分の力を発揮できると考えた。

 

現場に立ち続け

miwa「Faith」

 2005年に映像制作会社に入り、MVの現場などを数多く経験する。プロデューサーの仕事だけでなく、現場のチーフなど一人で何役もこなさねばならず、20代前半でいきなり現場を仕切る立場に。しかしスケジュール通りに現場を進めることができず、毎日会社を辞めたいと思うほど追い込まれていった。それでも「3年は辞めない」と活動するうちに、現場の動きが見えてきた。次にどんなカットを撮るか把握し、各部署のスタッフに指示を出せるようになっていく。撮影が円滑に進み、スタッフが楽しみながら制作しているような現場を作れたときに、この上ないやりがいを感じた

 プロデューサーの仕事は案件によってさまざまだが、まずは仕事を取ってくることから始まる。それからスタッフ編成、予算管理、納品までのスケジュール管理など業務の幅は広い。監督やカメラマン、クライアントなど、さまざまな立場をつなぐハブとなる。

 現場にも必ず立ち会ってきた。「この現場を一番分かっているのは自分だから」と、より撮影をスムーズに進めるため朝誰よりも早く現場に行って一番遅く帰るように心掛けているという。

 

佐賀でフェスを

ポルノグラフィティ 「2012Spark」

 東京でつながりができ、自分宛に仕事がもらえるまでになった堤さん。これでかつての目標は達成できた。ならば東京でやっていた仕事を佐賀でもやってみようと、今年2月、佐賀に帰ってきた。

 今は小型無人機(ドローン)の操縦練習に打ち込んでいる。農薬散布や空撮を事業の柱にしながら、これからもアーティストのMVを撮り続けていく。そうやってできた新しいつながりを基盤に、佐賀でフェスを開くことが新しい目標だ。

 フェスはライブの制作や映像、イベントのプロデュースなど、これまで自分のたどった軌跡を一つの形にできる。まさしく「堤俊典」にしかできない仕事へ向け、夢の続きを歩く。

 

クリエイターを目指すみなさんへ

物を作っている人たちがクリエイタ-。学生で何であれ、やれることの中で物を作ることが大事。

 

プロフィル

つつみ・としのり 城東中-致遠館高、東放学園音響専門学校。プロデューサーとしてミュージックビデオや広告などの映像制作、イベントに携わる。今年2月に拠点を東京から佐賀に移した。愛称は東京時代の仕事仲間に付けられた〝ハブラシ〟。

 

クリエイターズカフェとは

佐賀県出身、または佐賀で活躍しているクリエイターを紹介していきます。(カフェ=人が集まる場、情報交換のできる場所。Visitor(ナンバリング)=訪問者、客。)

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