放鳥前に園児たちにハヤブサについて説明する石橋美里さん=武雄市橘町

 武雄市の鷹匠(たかじょう)・石橋美里さん(30)が保護し、傷の治療とリハビリを続けていたハヤブサが6月30日、約3カ月ぶりに空に放たれた。地元の幼稚園児32人も駆け付け、傷が癒えたハヤブサが飛び立つ姿を見守った。

 石橋さんは3月、武雄市文化会館近くの住民から「庭に飛べないタカのような鳥がいる」との連絡を受けた。県の鳥獣保護管理員でもある石橋さんは、県生産者支援課と連絡を取り合って鳥を捕獲。絶滅危惧種のハヤブサであることを確認し、翼に傷を負っていたため唐津市の専門の獣医に診察を依頼した。

 保護された鳥はメスの成鳥で年齢は4歳ぐらい。骨は折れてはいなかったが、獲物を狙って急降下した時に木の枝か電線にぶつかったとみられる。ハヤブサは時速300キロ以上で飛ぶとされ、強い衝撃のため当初は血便も出ていた。自宅に連れ帰った石橋さんは自然に戻れるよう、治療とリハビリを繰り返した。

 武雄市橘町の六角川沿いで放鳥会を開き、地元のたちばな幼稚園の園児を招いた。石橋さんは「この鳥は飛べるようになるまで、とても頑張りました。武雄の空に戻れるようにみんなで応援しましょう」と声をかけた。園児は石橋さんの手からハヤブサが飛び立つと歓声を上げ「がんばれ」「元気でね」と声援を送った。

 ハヤブサは県内では厳木バイパス周辺や、有明海の干潟などで確認されている。石橋さんは「自然に帰すことができてよかった。武雄周辺もいい環境なので、自分の力で生きていってほしい」と笑顔で話した。(澤登滋)