6月、海水温は19度となりました。冬に繁茂していたワカメの葉は枯れ、ホンダワラ類の海藻が目立つようになり、初夏の景観となってきました。この時季、そのホンダワラ類の海藻の中を注意深く見ていくと、おなかを大きくしたタツノオトシゴの仲間「ヒメタツ」を見ることができます。
タツノオトシゴの仲間の生態は一風変わっています。メスのおなかに宿した卵をオスに受け渡し、その後、オスのおなか(育児嚢(いくじのう))で受精させ、孵化(ふか)までオスがおなかの中で守ります。卵の受け渡しから約1カ月、おなかはパンパンに張り、呼吸も息苦しそうになったころ出産となります。
出産は外敵が寝静まった夜中から明け方前の真っ暗な海中でひそかに行われます。生まれた赤ちゃんは潮の流れに乗って拡散し、その一生が始まります。
(文と写真:唐津マリンスポーツクラブ・浪口知記)