大町町のふるさと納税に絡む贈収賄事件を巡り、水川一哉町長は17日、加重収賄容疑で逮捕された町農林建設課副課長の古賀壯容疑者(60)が町に対して業者側に便宜を図ったと認めていたことを記者会見で説明した。贈賄容疑で逮捕された会社代表の男(67)を町が電子計算機損壊等業務妨害容疑で佐賀県警に告訴していたことも明らかにした。
古賀容疑者は5月10日、水川町長に電話で佐賀県警から事情聴取を受けたことを伝えた。その中で、ふるさと納税事業の業務委託の公募型プロポーザルに参加した業者の企画提案書の画像があることを示され、会社代表の男に提供したことを認めたという。
理由として「(容疑者の会社が)プロポーザルで選ばれた方がいいと考えた」という趣旨の説明をした。会社代表の男からカニをもらったことを明かした一方、「金の関係はなかった」などと金銭の授受は否定していた。
町は会社代表の男と社員を電子計算機損壊等業務妨害容疑で3月に告訴していて、同社が2024年度のプロポーザルで落選した後、ふるさと納税のポータルサイトに掲載されていた「口コミ」などの情報を無断で削除したとしている。
この問題は3月の定例町議会で取り上げられ、水川町長は「(容疑者の会社が)蓄積データを故意に損壊し、適切な引き継ぎができなかった」と答弁していた。23年度は8億3300万円だった寄付額が24年度は1億3700万円になって大幅に減少し、問題の影響が及んだとしている。会社代表の男は当時、佐賀新聞の取材に「損壊などしていない。引き継ぎをさせなかったのは町の方」と答えていた。(小野靖久)