とよますさんの作品「そらのかけら」

「そらのかけら」でグランプリに輝いたとよますあやかさん=佐賀市の佐賀新聞社

 日本マクドナルド(東京)が初めて開催した「ハッピーえほん大賞」の一般部門で、佐賀県在住のとよますあやかさん(27)の「そらのかけら」がグランプリに輝いた。空の美しさを描いた心温まる物語で、5779作品の中で最高の評価を受けた。全国のマクドナルドで2026年冬、「ほんのハッピーセット」として販売される。

 同社は2018年から、おもちゃなどが付いた子ども向けメニュー「ハッピーセット」で絵本や図鑑を提供しており、未来の絵本作家を発掘しようと原作を募集した。年齢制限なしの「一般」と中学生以下の「子ども」の2部門に、計8119作品の応募があった。

 「そらのかけら」は、星空や日没などさまざまな美しい空を切り取る「そらのかけらやさん」が、困り事を抱えた客に解決を提案したり、日常に彩りを与えたりする物語。店で働く少女や動物を柔らかく、かわいらしいイラストで表現した。19年寄り添った愛犬と一緒に見た空が制作のきっかけになり、「思い出の中に空の色を残してほしい」との思いを込めた。

 審査員からは「お話が完成されていて、プロフェッショナルな印象を受けた」「読後感の心地よさがいい」と評価を受けた。グランプリのほか、ゴールド、シルバー、ブロンズなどの賞を両部門の47作品が受け、県内からは子ども部門でまつおわかばさん(6)が入選した。表彰式は5月、東京で開かれた。

 とよますさんは幼い頃からイラストに興味があり、今回初めて絵本に挑戦した。「絵本制作の楽しさが染み渡る、宝石のような経験になった」と受賞を喜び、「毎日の何気ない、だけど心震える瞬間を五感で覚えていてほしい。家族で読んで、一緒に空を見上げてもらえたら」と話した。(松尾綺子)