陸上男子三段跳びの最終試技。他の種目が全て終わり、多くの観衆が見守る中、佐賀東の土師立幹は深く息を吸い、走り出した。絶好の踏みきりで飛び出し、逆転優勝を決める14メートル88をマーク。土師はスタンドのどよめきを全身で受け止め、力強く拳を突き上げて歓声をさらに沸き立たせた。
「あいつに勝って優勝するためだけにこの1年やってきた」。“あいつ”とは、昨年の北九州地区大会で大差をつけられた大森恵偉音(福岡一)のことだ。昨年12月の九州合宿では相部屋となり、常に目標にしてきた。切磋琢磨(せっさたくま)したライバルに、昨年の借りを返した。