佐賀新聞社の記者がつづる教育や子育てをテーマにしたコラムです。
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ある日、車の中で小3の娘とこんな話をした。
父「あと10年たって高校卒業したら、家を出たほうがいい」。
娘「一緒にいたくないの」。
父「大学生の時ぐらい佐賀を離れてもいいんじゃないかな」。
娘「お父さん、ひどい」。
大学キャンパスの横の道路を走行していたから、こんな会話になった。子育てにはいろんな考えがあるが、ゴールが独り立ちなのは衆目の一致するところだろう。動物の親子のドキュメンタリーも巣立ちや親離れがハイライト。実家以外で暮らす学生生活も、巣立ちの仮免許みたいなものだ。
このやりとりが2周ほどして、妻が「不毛な会話してるな」と一言。8歳では反発するのが当たり前、意識付けのつもりでいたが、どうやら早過ぎた。
人口が減少する地方では、進学や就職のタイミングで地元を離れる若者を減らすことが課題の一つになっている。それも分かるが、地元を離れ、外の世界を見てほしいと願う親心もある。本人の希望はどちらに向かうのか。時機をうかがい、また聞いてみよう。(佐賀新聞社 宮﨑 勝)
※佐賀県PTA新聞2021年10月・11月号に掲載