原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた玄海町での文献調査を巡り、反原発の市民団体が2日、原子力発電環境整備機構(NUMO)による文献調査の認可申請の無効を求め、武藤容治経済産業相に審査請求したことを明らかにした。

 行政不服審査法に基づく審査請求で、5月31日付で郵送し、九州各県など204人が名を連ねた。

 審査請求では、玄海町の北に位置する唐津市の離島・加唐島が、調査対象となる文献の中で約260万年前以降に活動した火山とされていることに触れ、「選定で重要な事実を説明せずに文献調査の実施を決めたことは最終処分法に違反する」などと主張した。

 経産省は、処分場に関する基準で、約260万年前以降に活動した火山から約15キロを避けると定めているが、「火山活動の中心とする妥当性が十分に得られない場合は、概要調査以降に判断する」としている。

 市民団体は、経産相が文献調査を認可したことの取り消しを求める審査請求も10日までに行う予定。メンバーの豊島耕一・佐賀大名誉教授は「玄海町の周囲に火山があり得るという事実を隠していることは瑕(か)疵(し)に当たる」としている。(松岡蒼大)