佐賀新聞社が主催する佐賀西部政経セミナーの5月例会が28日、鹿島市の割烹清川で開かれた。政治ジャーナリストで朝日新聞記者時代に与野党を幅広く取材した鮫島浩さんが講演し、厳しい政権運営が続く石破内閣を検証し、夏の参院選以降の政局を解説した。
鮫島さんは、江藤拓前農林水産相が佐賀市内の講演で「コメは買ったことがない」と発言し、辞任に追い込まれたことについて「首相は続投させるつもりだったが、野党が結束して不信任案を出す事態になり更迭せざるを得なくなった」とし、少数与党による政権運営の厳しさを指摘した。
後任の小泉進次郎農相については「自民党の農林部会長時代に農政改革に取り組んだが失敗した。備蓄米放出をきっかけに再びそこまで踏み込むのか注目している」と述べた。
参院選に絡む政局について「野党が内閣不信任決議案を出し、可決してしまえば衆参ダブル選の可能性もある」と指摘。その場合、石破内閣は総辞職か衆院解散を選択するが、「支持率30%台で選挙は戦えない。かと言って次に誰を首相にするのか、自民党総裁になっても首相になれないかもしれない。混(こん)沌(とん)とした状況になる」と予測した。
自公政権は年金改革法案で立憲民主党と修正合意したように「立憲民主か国民民主か、政策によって組む相手が変わる。そういう目で政局を見ることも大切」とした。(澤登滋)