佐賀市の写真家栁木繁弘さん(81)が、40年以上の撮影歴の集大成となる作品展を27日から、佐賀市の県立美術館で開く。風景を中心とした写影は、その時々の瞬間の美を残し続ける。
栁木さんは兄弟で営んだ写真館で撮影を担当。独学で写真術を学び、仕事から技術を身に付けた。お客さんの要望で写真クラブを立ち上げ、クラブの活動とともに自分の作品を磨き上げてきた。
今回の作品展は、若い頃から交流する写真家大塚清吾さんに背中を押されて開催する。長年撮りためた作品から精選した約50点には、大塚さんが「風景の裏側までをも見透かすような観察力を感じた」とコメントを寄せる。
「光と影」は2001年度県展の佐賀新聞社賞。川副町の堤防に孫を配した構図が、陰影とともに目を引きつける。2019年筑後市美術展入選の「カップル誕生」は、神埼市千代田町に集まるサギのつがいの仲むつまじい様子を切り取った。「生命」はシイタケが胞子を放出する様子を神秘的に描写する近年の撮影テーマだ。
栁木さんは、「今は見ることのできない光景もある。これが最後の作品展です」と感慨深く作品を並べている。(原田隆博)
▼6月1日まで、県立美術館2階画廊で。午前9時半~午後6時(最終日は午後4時まで)。入場無料。