Q 佐賀弁で「ハシクイ」って何のこと?

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 A 「沙魚(ハゼ)」のことを佐賀方言では「ハシクイ」という。「ハシクイ」の「ハシ」は「ハゼ」の転。「クイ」は「繰り」で漁猟用語としては「網」というに等しいらしい。

 例えば、「ハダラ」漁のことを「ハダラグイ」といっている。大体、「ハシクイ」は夏ごろ、潮が満ちて来る時分に、海岸の潟泥のところで、エビを餌にして釣ると、おもしろいほどよく釣れる。

 それが、秋すぎになると今度は網にかかるが、もうその時は7、8寸(約21センチ~24センチ)から1尺(約30センチ)にも及ぶ大きさである。それを佐賀方言では「ナガレハシクイ」という。

 肉は柔らかくて、普通煮付けて食べるが、時には乾燥させて煮出しにしたり焼いて食べたりする。とにかく、一種独特の味をもった魚である。

 なお、「ハゼ」のことを「沙魚口(ハゼグチ)」ともいう。だから、その「ハゼグチ」の転が「ハシクイ」という説もあるが、やや無理のようである。

 ■出典:志津田藤四郎著「佐賀の方言」(佐賀新聞社刊)