本格的な雨期を前に武雄市は、地域住民でつくる自主防災組織向けの「訓練マニュアル」を作成した。河川整備などハード面での対策に関心が向きがちだが、被害を最小限に抑えるためには日頃からの『備え』も大切だ。2019、21年と3年間で2度の浸水被害に遭った地域だからこそ、住民の意識も変わってくる。マニュアルの作成は県内初の試みで、今後、同様の取り組みが他の自治体にも広がることを期待する。

 マニュアルをまとめた冊子には、住民自身で身を守る「自助」と、近隣で助け合いながら災害に対応する「共助」の具体例を紹介している。日常から備える物資や災害時の動き方、情報収集の方法、救助・避難・誘導訓練の手順、炊き出し技術などを項目別にまとめている。炊き出し技術の項目では米を炊いて準備する時と、防災備蓄食を調理する時に場面分けをしている。どちらも「非常時でも温かい食事がしたい」という、2度の浸水被害の教訓が生かされている。