256人の小学生から寄せられた「なぜ?」「どうして?」に、脳研究者の池谷裕二さんと、人気絵本作家のヨシタケシンスケさんが向き合う。
勉強や学校のこと、自分や友達のこと、不思議に思うこと…。小学生の素直な質問から、大人でも考えがちなものまでさまざまだ。AIについてなど現代的な質問もある。
この本の注目ポイントは、脳科学と絡めながら回答しているところ。例えば「友達がとても嫉妬深い」という質問に対して、MRIを使った研究結果を用いて回答している。一つの質問に対するページ数は少ないものの、読み応えのある答えが書かれているため、新たな発見がたくさん見つかる。子どもの悩みは繊細で、回答の文章から制作陣の配慮が行き届いている印象も受けた。
ヨシタケさんのイラストもユニークさや哲学を感じられた。特に「失敗したことがない」と話す男性に、社長らしき人が「つまり、『よそうしてないことがおきたとき、どうすればいいかを知らない』ってことだね」とコメントしているという一枚絵だ。失敗だらけの人生を肯定してくれているようで励まされた。
モヤモヤは生きている証しなのだと著者はつづる。考えている瞬間は苦しいかもしれないが、だからこそ人間は一歩、また一歩と成長できる。悩むのも悪いものじゃないのかもと気づかされた一冊だ。(NHK出版/1320円)
(コンテンツ部・池田知恵)