中木庭地区の棚田で始まった田植え。苗を担ぎ、何度も往復して運ぶ=鹿島市山浦

中木庭地区の棚田で始まった田植え。苗を担ぎ、何度も往復して運ぶ=鹿島市山浦

 緑豊かな山あいに点在する集落の棚田に水が張られ、昔ながらののどかな風景が広がっている。アジサイで知られる中木庭ダム(鹿島市)の上流に位置する中木庭地区で、田植えが始まった。

 多良岳山系の谷あいにある同地区では毎年、5月20日前後に田植えに取りかかる。小濱新二区長(66)は、23日に苗を植え始めた。気温が上がる中、苗を担いで階段状になった田んぼを何回も往復し、田植え機に積み込んでいた。

 約20年前に50軒ほどあった集落は、ダムの完成で転居するなどして現在は8軒が残る。小濱区長の家は祖父の代に山を切り開いた。「じいさんや父から受け継いだ田をこれからも大事にしていきたい」。日本の原風景を守り続ける。(写真と文・鶴澤弘樹)