神埼市が特産化を進める「神埼桑菱(くわびし)茶」の原料となる桑の葉の収穫が22日、神埼町尾崎の畑で始まった。2020年に売り出した桑菱茶は販売が苦戦しているが、市は「健康食品として一定の評価を得ている」としており、期待される血糖値上昇の抑制などの効果をアピールしていく考えだ。
同市内ではかつて、養蚕のために桑が盛んに作られていた。桑菱茶の商品化に合わせ、地元有志が神埼和桑部会を立ち上げて栽培をスタート。部会は12人で構成し、昨年は約5トンを出荷した。今年は約60アールで作付けし、10月上旬までに5、6回新芽を刈り取る。
桑の葉とヒシの外皮をブレンドした桑菱茶は、市と西九州大が共同開発した。パウダー状で水や牛乳に溶かして飲み、1箱30包入りで販売している。
桑菱茶の加工生産を行う神埼M&Mコーポレーションによると、生産数は21年度の約1万3900箱をピークに減少傾向にあり、5年目の昨年度は、前年度より約760箱少ない約7900箱にとどまった。實松尊徳市長は5月の定例会見で、「青汁に近いので、初めて飲む人には『これ何?』と思われることも多い」と述べた。
市は発売当初から、桑菱茶の購入費用を補助している。市民を対象にしていた半額補助を、昨年8月には市民以外にも拡大して販売のてこ入れを図った。本年度は5千箱分を補助対象にする。
市は桑菱茶について、血糖値上昇の抑制や肥満の予防・改善などが期待されるとしている。實松市長は「どちらかというと健康路線で売っていきたい」としており、市は本年度中に機能性表示食品として届け出る方針を示している。(上田遊知)