約千人が佐賀市のホテルに集まっていた。自民党佐賀県連が18日に開いた政治資金パーティー「政経セミナー」。江藤拓農林水産相(当時)はここで約20分講演した。米価高騰の中、米どころの佐賀で農相は何を語るだろう。そんな思いで現場にいた。
「私、実は総裁選で一度も『石破茂』と書いたことはございません。にもかかわらず(農相に)ご指名いただきました」。冒頭でこう話すと、会場ではどっと笑いが起きた。「最近は、石破さんより私の方がたたかれてるんじゃないかと思います。きょうはどうぞよろしくお願いします」。漫談のように慣れた語り口で、会場はすぐに和やかなムードに包まれた。
登壇している県関係国会議員一人一人を名指しで持ち上げた。「与党はだいたい大臣のことをよいしょします。答えやすい質問しかしないのに、彼は違います。質問名簿で名前があると、参ったなと思う」。硬軟織り交ぜつつ、会場で笑いが起きるたびに口が滑らかになっていると感じた。
「11分たちましたので、あと9分ぐらい農政の話をします」。備蓄米31万トンを放出しているのに米価が下がらないことに「大変責任を感じています」。備蓄米の精米処理について語る中であの発言が出た。「私はコメを買ったことはありません、正直。支援者の方がたくさんコメを下さるので、まさに売るほどある。私の家の食品庫には」。「受け狙い」(江藤氏)に反し、コメ政策を語っている間に笑いは起きていなかった印象がある。