薄暗い通路から、親鳥を呼ぶ元気な鳴き声が聞こえてくる。佐賀市中心部の中央マーケットの入り口にツバメの巣が複数でき、親鳥がひなにせっせと餌を運んでいる。ランチ時に頻繁に行き交う人の姿など、どこ吹く風だ。
二つの巣の中で、それぞれ5羽ほどのひなが体を寄せ合い、巣立ちを待っている。営巣する場所は4年ほど前から同じ。夜間には入り口のシャッターが閉まり、天敵のカラスに襲われずに済む。
ふんで通路が汚れないようにと、近くの喫茶店の店主が巣の下に空き箱を置いている。「掃除は大変だけどせっかく来てくれたから。元気に巣立ってもらえれば」。昔ながらの商店街が、にぎやかさを増している。(写真と文・鶴澤弘樹)