伊万里市大川内山の窯元でつくる伊万里鍋島焼協同組合(畑石眞二代表理事)は、近く官邸を訪れ、石破茂首相に酒器を「献上」する。鍋島藩窯開窯350周年を広くPRするのが目的で、20日に県庁で完成品を披露した。
江戸時代、大川内山には鍋島藩直営の窯場があり、最高級の焼き物を将軍家や大名家に献上していた。組合はその歴史を再現し、1989年から毎年、伝統技法を用いた作品を城のある自治体の首長らに贈っている。国のトップへは2015年の安倍晋三首相に続いて2度目になる。
「瑠璃焼締松柏鳳凰文瓶子(るりやきしめまつかしわほうおうもんへいし)」と名付けた酒器は高さ37センチ、最大幅23センチ。石破首相が政治信条に掲げる「雪中松柏(厳しい状況下でも志や主義を曲げないことのたとえ)」を絵柄で表し、側面に文字も入れた。
今年は大川内山で鍋島藩窯が操業を始めて350年になり、組合はさまざまな周年事業に取り組んでいる。石破首相への「献上」もその一環で、9月3~5日には、大阪・関西万博の佐賀県ブースに過去の献上品十数点を展示する予定。
県庁で山口祥義知事と面談した畑石代表理事は「これからも鍋島焼の素晴らしさを国内外に広く伝えたい」と述べ、山口知事は「本当に美しい。世界の鍋島焼だ」とたたえた。(青木宏文、中島幸毅)