鹿島市浜町の肥前浜宿酒蔵通りにある酒造家が余生を過ごした家が、リノベーションの上、旅館としてオープンした。大正11(1922)年に建てられた総ヒノキ造り、白漆喰(しっくい)塗り、平屋の建物。当時の姿を残しつつ、現代に合わせた快適な設備も整える。一棟貸しを想定、当時の贅(ぜい)を尽くした建築の中でゆったりとした時間を過ごせる。
宿の名前は「総襖(ふすま)絵の宿 水頭(すいとう)別宅」。呉竹酒造の2代目社長・水頭幸太郎氏が建て、隠居家として使っていた。8畳の座敷、6畳の次の間、4畳半の納戸部屋がある。すべての襖に絵が描かれており、再生に当たり修復。当時県内などで活躍していた絵師の作という。明治維新の元勲や親王の書もある。浜川に面し、多良岳を望む立地も売りで、川面を渡る潮混じりのさわやかな風を感じることができる。