アマモの森にすむマトウダイの幼魚(体長5センチ)=唐津市の湊浜、水深4メートル

 5月、海水温は16度となりました。気温の上昇とともに徐々に水温も上がってきました。

 この時期、冬の繁殖期に誕生した生物たちの幼魚が、海藻や海草(うみくさ)に隠れて生活する姿が多く見られます。今年は冬の海水温が低下したおかげか、海藻も繁茂しており、そこに隠れるメバルの幼魚なども多く見られます。

 海中で花を咲かせ種子で繁殖する海草。その一種であるアマモの生えるエリアではマトウダイ(的鯛)の幼魚が見られました。成魚は水深の深いところに生息しますが、幼魚の時期は比較的浅い場所で出合えます。特徴的な背ビレと腹ビレ、名前のとおり体に的のような模様があります。

 唐津の沿岸には、幼魚たちにとってすみやすい貴重な海藻や海草の生えるエリアがあります。この自然環境(生態系)が、近年の気候変動によって崩れることがないよう切に願います。

(文と写真:唐津マリンスポーツクラブ・浪口知記)