人口10万人当たり6例未満という珍しさから医療者にもなじみが薄く、患者がさまざまな困難に直面する希少がん。その一つ、褐色細胞腫を経験した神埼市の吉岡紀子さん(44)は、発症から原因が分かるまでの3年間、生死に関わる症状や孤独に耐え続けた。同じ境遇の人たちに寄り添おうと、相談や啓発の活動に力を入れている。

 「大切な人のために自分を大切に。早めにがん検診を受けましょう」。3月下旬、吉野ヶ里町文化体育館でハンドボールのトヨタ紡織九州レッドトルネードSAGAの試合を見に来た人に、吉岡さんと家族が呼びかけた。若い世代のがん患者に向けた選手の寄せ書きも飾られ、篠崎敦嗣ゼネラルマネジャー(55)は「みんなが知ることから助け合いが生まれる。これからも協力したい」と語った。