致遠館高(佐賀市)のシンボルとして親しまれ、約7年前の落雷で故障した「カリヨンの鐘」を復活させようと、3年の生徒会長佐藤想良(そら)さんが奔走している。予算が付かなかったことなどで先送りされてきた鐘の修理を公約に掲げて生徒会長に就任し、新聞やPR動画を作って校内を盛り上げている。
カリヨンの鐘は1988年の開校時に、校舎の時計の下に設置された。カリヨンは複数の鐘を組み合わせた「組み鐘」で、同校では九つの鐘で登下校時に校歌や米国の民謡「峠の我が家」などを演奏していた。クリアファイルや学校誌にも写真が掲載され、在校生や卒業生に愛されている。
佐藤さんは入学した後、鐘が曲を奏でていたことを知った。「魅力的な鐘なのに壊れたままなのはもったいない」と活動を始め、昨年11月の生徒会長選挙で鐘の修理を公約に掲げた。生徒会新聞を発行して復活を訴え、鐘の歴史や運動の進ちょくなどを伝えたことで、賛同者が増えてきたという。
今年2月に校長らに修復プランをプレゼンした。修理の見積額は約170万円で、県の予算が付かない場合に備え、2年後の創立40周年記念式典の事業の一環として同窓会にも資金協力を求めている。復活を願う思いや経緯をミニドラマ風に仕立てたPR動画も作成している。
佐藤さんは「致遠館のシンボルを鳴らないまま終わらせたくない。後輩の学校生活を楽しくさせたいし、地域住民の思い出の場としても復活させたい」と話す。(秋根紗香)