九州電力は11日、定期検査中の玄海原発3号機(玄海町)で作業に当たっていた協力会社の30代男性が内部被ばくしたと発表した。体内に取り込んだ放射性物質は微量で、「身体に影響を与えるものではない」としている。男性は今後、医療機関を受診する予定。
九電によると、男性は10日午前9時55時から全面マスクと防護服を着用して原子炉容器上部ふたの手入れ作業に当たっていた。作業後に管理区域から退出する際、同11時14分に汚染モニターで顔付近の汚染が確認された。除染した後、同11時40分に管理区域から退出した。
内部被ばく状況を把握する専用の測定器の「ホールボディーカウンター」で測定した結果、翌11日午前10時2分に男性の体内に放射性物質が取り込んだと判断した。男性の内部被ばく量は今後50年間で0・02ミリシーベルト。国に報告が必要となる線量は5ミリシーベルト。
同様の事象が玄海原発で発生したのは初めて。九電は防護服やマスクなどを取り外す際に放射性物質が顔付近に付着した可能性もあるとみて原因を調べている。
当時、現場では3人で作業していたが、他の2人に内部被ばくはなかった。安全協定に基づき、九電は佐賀県と玄海町、唐津市に事象を報告した。
定検は3月28日から開始。6月3日に発電を再開し、同月30日に通常運転に復帰する予定だが、今後の定検の工程への影響は「精査中」としている。(松岡蒼大、秋根紗香)