基山町が2024年度から実証実験をしている予約型乗り合いタクシー「らくのるきやま」

 国土交通省は4月末、住民や観光客の移動手段が乏しい「交通空白」の解消に向けた緊急対策事業として200件を採択し、佐賀県内からは鳥栖市、基山町、みやき町の事業が選ばれた。免許返納後の高齢者の移動などが課題となる中、バスや鉄道といった交通機関が利用できない地域で乗り合いタクシーの検証事業などを行い、国が一定額を補助する。

 鳥栖市は、予約型乗り合いタクシーの実証運行事業を行う。自宅から主な目的地(商業施設や病院など)を選んで予約できるサービスで、人工知能(AI)が最適なルートを割り出して運行する。約1千万円で運行システムを構築後、今年秋以降に実証運行を行い、市民に便利な交通サービスのあり方を検証する。

 基山町は、予約型乗り合いタクシーを2026年度に導入する計画。町内のタクシー会社と連携して実証実験を始めており、初年度の24年度は60~70代を中心に3カ月間で約1200人が利用した。買い物や通院が主な目的で、「便利で、早く導入してほしい」という意見も多いという。本年度も実証実験を行う。

 みやき町は、現行のコミュニティバスからデマンド型乗り合いタクシーへの転換を検討している。コミュニティバスは、中原駅や三根庁舎など町の主要部分を通る中央線以外の4路線の利用者が減少している。町の担当者は「事業を具体的に検討するのはこれから。利用者のデータを収集し、適した形を探す」と話す。

 国の緊急対策事業は地域の足を確保する事業の事前調査、システム導入、実証運行などの導入支援を行い、採択されると500万円と、それを超える事業費の3分の2が補助される。(樋口絢乃、樋渡光憲)