自動車のテールランプに曇り止めの塗装を施す際、塗装箇所以外を保護するためのカバー(治具)を設定する。近年は左右のランプが一体となった大型部品が増え、それに伴って治具も大型化して着脱作業に2人必要になることが増えていた。小糸九州(佐賀市)の野中剛(ごう)さん(38)は、必要な箇所だけ着脱できるよう治具を改良した。
新たに製造するテールランプが大型部品で、塗装時の治具は、テールランプを固定するフレームを含め全体重量が約30キロに。1人で作業できるようにするには「保護する部分だけ着脱できればいい」と着想し、スムーズな着脱とズレ防止のための仕掛けを模索した。
テールランプを固定するフレームに、塗装保護の治具を取り付ける際、フレームの軸に引っかけて回転させると治具に設けたフックがかかって固定する仕組みを採用。一人で簡単に着脱でき、ズレも生じないという。この治具の改良で、年間16・5時間の作業時間短縮を実現した。
野中さんは「現場の声を聞きながら約1年かけて仕上げた。今後もどんな小さな困り事にも耳を傾けながら改善を重ねたい」と話した。(梶原幸司)