地域の「生きる糧」として長年受け継がれてきた伝統行事が念願の復活を果たした。石川県七尾市の青柏祭で、高さ12メートルの巨大な山車「でか山」の運行が2年ぶりに実施された。昨年は元日の地震被害を受けて中止に。関係者は、建物解体が進む市街地ににぎわいを取り戻したいとの強い思いを抱く。
神事を執り行う大地主神社の宮司大森重宜さん(64)は「祭りの名前になっている柏は、青葉が出るまで古い葉が落ちない。伝統と家族をつなぐ象徴だ」と話す。生活の一部として、500年以上続く行事は「生きる糧となっている住民も多い」と明かす。
「大きい」「重たそう」。4月下旬、祭りの由来などを小学生が学ぶ「でか山教室」が2年ぶりに開催された。小学4年沢野泰治さん(9)は「引っ張りたい」と目を輝かせた。
「家が解体されていくと、まちは寂しくなる。嫌なことを打ち消すよう『でか山のおっちゃん』たちが頑張るから」。教室に携わる坂下隆一さん(57)は子どもたちに呼びかけ、新型コロナなど幾度の困難を乗り越えた行事の継承と地域の復興を誓った。