幕末佐賀藩をテーマにした伊藤昭弘教授(奥)の講演会=佐賀市の佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館

佐野常民などが登場する劇を披露する佐賀東高の演劇部

 三重津海軍所跡(佐賀市川副町)を含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録10周年を記念した催しが26、27の両日、同町の佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館で開かれた。年間を通した関連イベントのオープニングとして、幕末佐賀藩をテーマにした講演会や中学、高校の吹奏楽部、演劇部のステージなどを開催した。

 27日の講演会では、佐賀大地域学歴史文化研究センター長の伊藤昭弘教授が、「幕末佐賀藩の起点」と位置付ける西洋の科学技術導入のルーツや、当時の国際情勢について話した。

 伊藤教授は、10代藩主・鍋島直正による三重津海軍所の前身「御船手稽古所」設置といった佐賀藩の近代化は、1842年に長崎聞役の嘉村源左衛門が長崎のオランダ船からアヘン戦争の情報を入手したことに始まると指摘。情報を得たことが洋式大砲の製造などにつながったとし、「アヘン戦争の情報が到来した時期が、佐賀県の産業革命のスタートだった」と解説した。

 約40人が聴講し、中野義冨美さん(75)=みやき町=は「幕末の佐賀藩における直正公の動向がよく分かった。三重津海軍所などについても理解を深めていきたい」と話した。

 26日には、川副中吹奏楽部、佐賀東高演劇部がステージに立った。5月6日には鉄道模型Nゲージを走らせる運転会なども行う。(坂本有佐)