吉野ケ里遺跡(神埼市郡)の北墳丘墓西側の「謎のエリア」で2023年に発掘されて話題を呼び、現在は埋め戻されている石棺墓(せっかんぼ)のレプリカが26日に公開された。発掘調査員の解説を聞きながら遺跡を巡る初開催のツアー参加者も見学し、細部まで忠実に再現された線刻や風合いに見入っていた。
公園内の展示室に設置されたレプリカは 実物と同じ全長181センチ、幅40センチ。プロジェクションマッピングでレプリカに赤色顔料や線刻を投影し、線刻の長さや深さを触って確認できる模型も並べている。来場者は棺の中をのぞき込んだり、模型の線刻を指でなぞったりしながら見学していた。
ふたに数多く刻まれ、注目された「×」「+」などの記号も再現されている。親子で訪れた岩松小(小城市)3年の長友陽琉さんは「なんで×ばっかりなんだろう」と熱心に眺め、父親の聡一朗さん(43)は「当時の様子が想像しやすかった。線にどのような意味が込められているのか気になる」と話した。
午前と午後に実施されたツアーにはそれぞれ約40人が参加し、発掘調査員の解説を聞きながら、レプリカをはじめ物見やぐらや環濠(かんごう)、甕棺墓(かめかんぼ)列などを見学した。謎のエリアでは、発掘された石棺墓が小高い場所に埋まっていたことや、弥生時代中期の甕棺墓なども出土したといった説明もあり、参加者は写真を撮影して楽しんでいた。
展示室は観覧無料。公園への入園料は別途必要になる。(秋根紗香)