吉野ケ里遺跡で発掘された石棺墓のレプリカ。石の色味や赤色顔料なども再現した

石棺墓のレプリカはプロジェクションマッピングを使い、線刻などの特徴を紹介する

手で触れられる石ぶたの模型。線刻の深さや幅も体感できる

 佐賀県は、吉野ケ里遺跡(神埼市郡)の北墳丘墓西側で2023年に発掘され話題を集めた「石棺墓(せっかんぼ)」のレプリカを26日から公開する。実物を型どりし、石ぶたの線刻や赤色顔料を忠実に再現。邪馬台国時代の有力者の墓とみられる実物は既に埋め戻されている。県文化課は「研究材料として使えるほど再現度が高い。近くで観察し、謎解きを楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。

 邪馬台国時代の有力者の墓とみられる石棺墓は、全国的な話題を集め、「吉野ケ里フィーバーの再来」と言われた。骨や副葬品は見つからず、石ぶたにしるされた線刻の意味など、詳細は謎に包まれている。

 県は、保存のために地中に埋め戻した石棺墓のレプリカを10カ月ほどかけて製作。文化財の複製に関わる「スタジオ三十三」(京都府)に依頼し、職人が顔料や石の色味を再現、表面の質感も実物と見比べながら調整した。

 大きさは実物と同じ全長181センチ、幅40センチ。プロジェクションマッピングでレプリカに線刻や赤色顔料の光を投影し、特徴を紹介する。石ぶたは展示用に加え、触れられる模型も製作した。映像も含めた製作費は約1700万円。

 県文化財保護・活用室は「発掘時より間近に見て、線刻の深さや細さを感じられる。存在感があり、イメージも膨らむのでは」と語る。吉野ケ里歴史公園内の展示室で、26日午前9時から公開する。観覧無料で、公園への入園料は別途必要になる。(横田千晶)