昨年、八つの基準で試験的に作った蜂蜜。早ければ今年8月から「さが8みつ」を発売予定

佐賀市での養蜂風景。「さが8みつ」は5月中旬から採蜜を始める=4月

「さが8みつ」プロジェクトに取り組む県養蜂組合協議会のメンバー

 佐賀県産の蜂蜜をブランド化しようと、県内養蜂業者によるプロジェクトがスタートした。糖度や酵素、保存方法、蜂蜜に含まれる花粉の遺伝子分析などによるトレーサビリティー(生産流通履歴)表示など八つの基準を設けて、消費者に高品質で安心安全な商品を届けることを目指す。「さが8みつ」と銘打ち、早ければ8月に商品化する。

 プロジェクトに取り組むのは県養蜂組合協議会(嶺川敬介会長)。以前から、消費者から「酵素活性の機能性を維持しているか」「本当に佐賀で作られたのか」と多くの声が寄せられていたという。

 岩松宏明プロジェクトリーダー(45)は「その疑問に応えることで、本物、本気の蜂蜜を作っている佐賀の養蜂の素晴らしさに気づいてもらうきっかけにつながれば」と、3年ほど前から準備を始めた。

 「さが8みつ」ブランド化へ、トレーサビリティーと品質に関する八つの評価基準を設けた。トレーサビリティーでは、採蜜日、採蜜量、採蜜地などを記録するほか、花粉を遺伝子検査し、残留農薬も調査する。

 最も特徴的な取り組みは、蜜をためる「巣枠」ごとに個体識別番号を付けて管理追跡することだという。レンゲやミカンといった収穫地周辺の蜜源となる植物の開花状況を記録した上で、収穫した蜂蜜の花粉を遺伝子分析する。蜜源植物と蜂蜜に含まれる花粉の適合具合で、その土地で採れた蜂蜜かが分かる手がかりになる可能性があるという。

 「個体識別番号での追跡は一般的に巣箱で行われるが、実際に蜜をためる巣枠単位で行うことで精度が高まる」(岩松リーダー)といい、同協議会によると国内では初めての取り組みとみられるという。

 品質では、世界的基準の欧州連合(EU)や国内基準を上回る糖度81度以上としたほか、酵素が生きている証しのジアスターゼ値測定、酵素の不活性化を防ぐために保存や結晶化した際に液体に戻す融解の温度を42度以下に設定した。

 2025年はメンバーのうち12人がプロジェクトに参加する。5月中旬から6月にかけて収穫した蜂蜜を花粉分析した上で、トレーサビリティーが分かるQRコードをつけて商品化する。価格は140グラム800円(税別)、1キロ5千円(同)ほどで、現在の販売価格と同程度を想定している。「協議会のメンバーで取り組み、今後、5年10年と花粉検査のデータを蓄積することで佐賀産をうたえるようになれば」(岩松リーダー)と意気込む。(古賀真理子)