「自分たちも楽しむことを大切に企画している」と話す渡辺紀代美さん=鳥栖市の鳥栖市民文化会館

5月に博多座で上演される名作ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」(写真提供/東宝演劇部)

アーカイブ配信中の話題の新作ミュージカル「昭和元禄落語心中」の一場面(撮影:渡部俊介)

11月に鳥栖市文化会館で上演される音楽劇「エノケン」のビジュアル

 演劇、ミュージカル、歌舞伎、バレエなど華やかな舞台の数々-。非日常の世界にいざなう舞台観劇は、一度足を踏み入れると多くの人々を魅了し、人生に豊かさを与えてくれる。初回は基礎知識や舞台の魅力、オススメの公演やチケット購入方法などを紹介する。(坂本有佐)

 話を聞いたのは、鳥栖市文化事業協会事務局次長の渡辺紀代美さん。世界的ダンサーの熊川哲也さんが主宰・芸術監督を務める「Kバレエ トウキョウ」の鳥栖市での公演を誘致するなど、専門家の立場から多くの舞台を見てきた。渡辺さんは「舞台はその瞬間の演者とお客さんで作る一度きりの生ものであることが魅力。生に勝るものはないと思う」と魅力を語る。

 舞台にはさまざまな種類があるが、初心者には王道で名作といわれるミュージカルがオススメだ。渡辺さんは「最初の観劇が今後のイメージを左右するので演目選びは大切。ミュージカルの世界に浸って、帰りは鼻歌を歌ってスキップして帰ってほしい」と話す。

 中でも、5月から福岡市の博多座で上演される「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、日本で半世紀以上上演されてきたミュージカルの名作でオススメ。家族の愛と旅立ちを描き、俳優の市村正親さんが主人公テヴィエ役を務める。軽妙なセリフ回しや軽快な音楽、ダンスシーンが見どころで幅広い世代が一緒に楽しめる。

 また、11月には市村さん出演で、鳥栖市出身の俳優松雪泰子さん初の凱旋公演となる新作舞台の音楽劇「エノケン」も鳥栖市民文化会館で上演予定。喜劇俳優榎本健一の生涯を描き、温かい笑いと涙に包まれる物語で、ぜひ劇場に足を運んでほしい作品の一つだ。

 劇場での観劇が難しい場合は、ライブ配信やアーカイブ配信を。昨日まで福岡市の福岡市民ホールで上演された落語の世界とミュージカルを融合した新作ミュージカル「昭和元禄落語心中」は、「Rakuten TV」などの動画配信サイトで30日まで配信中。

 渡辺さんは「先入観を持たずに気軽に劇場に入れば違う世界を体感できる。一度きりの人生を豊かにするきっかけになれば」と話す。

 生活文化部の記者でもあり、私もここ数年は宝塚歌劇をはじめ、ミュージカル、バレエなどの年間さまざまな演目を観劇しているが、元々は舞台観劇とは縁がなかった。ぜひ多くの人に一度、劇場を訪れて人生をより豊かにしてほしいと思う。

 次回は、さらに楽しむための観劇のマナーとともに、6月に佐賀市文化会館で上演される舞台「午前0時のラジオ局-満月のSAGA―」の見どころを紹介する。

 

 (1)まずは行きたい公演や劇場を探す。佐賀県内は佐賀市文化会館や鳥栖市民文化会館などがある。福岡市の博多座は大作のミュージカルなどのチャンスも多い。劇場内のお土産スペースも広く、作品だけでなく劇場の雰囲気まで楽しめる。

 (2)チケット代を貯金する。チケット代が高額で悩むこともあるが、行きたい公演が決まれば発売日までに資金繰りを計画する。観劇に向けて月々貯金するのも、観劇へのモチベーションを上げることに。

 (3)チケットを確保する。チケット発売は随時行われるので、各劇場のホームページなどをこまめにチェックし、発売日に備える。インターネットや電話、劇場での購入などさまざま。人気のチケットはつながらないことも多く、スマホや電話で時報を流しながら、発売時刻と同時に「購入ボタン」をタップするのも一つの技だ。