小城市小城町の天山酒造は24日、今季の日本酒の仕込みが終わったことを祝う伝統行事「甑(こしき)倒し」を行った。昨秋から酒造りに従事してきた蔵人たちが、法被姿で酒だるを載せたみこしを引き、約4キロ離れた清水観音に参拝。沿道の人たちに新酒を振る舞った。
甑は酒米を蒸すおけのことで、仕込みが終わると横に倒して片付けることが行事の由来になっている。1875(明治8)年の創業時から続いている。
今季の出荷量は前年同様、一升瓶換算で約20万本。冬場の冷え込みが温度管理には適していたが、夏から秋にかけての高温でコメが硬くなり、酒造りには難しい条件になったという。
同社はことし、創業150年を迎えた。昨年12月に日本酒などの「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録され海外での知名度アップが期待される一方、トランプ関税が輸出に与える影響が懸念される。
七田謙介社長は「困難もある中で150年、酒造りの技術を継承してきた。これまでつないで来た人たちや、愛飲していただいた皆さまに感謝したい」と話した。(古川浩司)