受刑者の立ち直りを支援しているフランスの現代美術家ダビッド・メスギッシュさん(45)が18日、鳥栖市の麓刑務所で絵画のワークショップを開いた。美術のクラブ活動に取り組む6人の受刑者に、絵を自由に描く楽しさを伝えた。
フランスやイタリアの刑務所でワークショップを行っており、日本では初めて開催した。自己紹介したメスギッシュさんは父が刑務所に収監され、自身も非行に走った過去を明かし、「運命を変えたいと思い、芸術を始めた。人生は何があっても再建できる」と訴えた。
参加者は吉野ケ里歴史公園や阿蘇の自然、桜島など、それぞれの思い出の場所を描いた。メスギッシュさんは翻訳機を使ってコミュニケーションを取り、「自分にとって大切な場所を自由に描いて」などと語りかけた。
メスギッシュさんは「罪を償う義務は果たさないといけないが、自分の人生を捨てることなく、心にあるビジョンを実現して」とアドバイスした。横浜市の赤レンガ倉庫を描いた受刑者は「まだ新しいことに挑戦できる希望を持てた。明日からの活力にしたい」と話した。(樋口絢乃)