佐賀新聞社のメンバーズクラブ「新しい扉 Begin(びぎん)」の本年度の初回講座が20日、佐賀市文化会館で開かれた。歌手で俳優の武田鉄矢さんが人生観へ影響を与えた母親や映画の制作陣などとの出会いに触れ、「そういう人たちとの出会いが人生を変えた。人生は生きてみないと分からない」と語りかけた。
福岡県出身で、母親に掛けられた言葉が自身の性格をつくってきたと紹介。「昭和の時代、貧乏は当たり前だった。貧乏のつらさ、世の中をどう解釈し、表現するか。なるべく明るく表現した方が世の中楽しいんじゃないか。貧しいながらも、たくましさを母親から仕込まれたように思う」と原点に触れた。
フォークソングに引き込まれた学生時代を経て、上京。母親へのわび状のつもりで制作した「母に捧(ささ)げるバラード」がヒットしたが、「連続ヒットが条件で、流行歌で生きる苦しさを感じた」。芸能界を諦めようと決めた時、母親が「もう少し頑張れ」と日本酒で乾杯してくれたことで続けられたという。
俳優としては、山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)に出演した際、下痢をして草むらで走り回るシーンで山田監督から「違う」と言われ、何度も撮り直したことを振り返った。「なぜ笑いながらやるんだ。泣きながらやるからお客さんは笑うんだ」と言葉を掛けられ、喜劇の奥深さを感じたという。「昭和の時代を生きて、すてきな人たちに出会って、少しずつしつけられて、『人間』というのを真剣に考えられるアーティストを目指そうと思っている」と締めくくった。
歌手の美空ひばりさんや俳優の西田敏行さんとのエピソードも語り、最後にヒット曲「贈る言葉」を披露し、来場した約1500人が聞き入った。(横田千晶)
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