落語界を舞台に、芸に打ち込む人々の業や愛など人間ドラマを描くミュージカル「昭和元禄落語心中」が14日から、福岡市の福岡市民ホールで上演されている。主演の山崎育三郎さんと古川雄大さんに、見どころのほか九州や佐賀へのメッセージを聞いた。
ミュージカル「昭和元禄落語心中」は、アニメ化やドラマ化された雲田はるこさんの漫画が原作。山崎さんと古川さんは、互いに固い友情で結ばれた落語家・助六と菊比古(八雲)を演じる。高座をイメージしたセットといった落語の世界観と、ミュージカルらしい歌や音楽の融合が見どころ。
山崎さんは東京都出身、古川さんは長野県出身。共に「モーツァルト!」や「エリザベート」などの大作ミュージカルに出演している。
福岡公演は23日まで。チケットは博多座オンラインなどで販売中。千秋楽はライブ配信もある。問い合わせは博多座、電話092(263)5555。(坂本有佐)
ー日本初演の和風のミュージカル。幕が開いた瞬間は?
山崎 自分の頭の中で描いたものが形になり感動的だった。作り上げる過程が大変だったからこそ、お客さまの喜ぶ姿が見られて、間違いなかったと思った。
古川 セリフや所作など自分自身も大変な中で、無事に開いたという気持ちが強かった。お客さんが楽しんでくれている様子を感じられて、ありがたいと思った。
ーそれぞれの役については?
山崎 情に厚く感情的なタイプの役柄で、助六がセリフで「落語は客のためなんだ」ということを言い切るが、自分自身もファンやお客さんに対してどういるべきかを大事にしている部分や男っぽい部分は重なると思う。
古川 いろいろな人に影響を受ける役柄で、八雲は落語をやりたくて始めたわけではなく、結果それを突き詰めないといけない人生になる。自分がミュージカルの世界に入った感覚と通じるものがあるように感じている。
ー今回感じた落語の魅力は?
山崎 ただ座布団に座り、1人で言葉だけで落語の世界にいざなうのは、究極のエンターテインメントだと思う。知れば知るほど難しい。
古川 誰が話をするのかで伝わり方が変わるのは魅力だと思う。
-佐賀の印象は?
山崎 以前、鳥栖市民文化会館を訪れたときに食べた呼子のイカがおいしかった思い出がある。
古川 自然豊かなイメージで、身近な佐賀の人は、優しい人が多い印象がある。
ー九州や佐賀の皆さんにメッセージを。
山崎 この作品と心中する思いで、全てを出し切って新たな挑戦をしていきたい。劇場で僕らの作る世界観を体感してほしい。
古川 落語やミュージカル、僕らのことを知らなくても楽しめる作品だと思う。迷っている人は、ふらっと気軽に見に来てほしい。