儒学の祖・孔子の遺徳をたたえる「春季釈菜(せきさい)」が18日、国重要文化財に指定されている多久市の多久聖廟(せいびょう)で行われた。多くの見物客が訪れ、1708年の創建以来300年以上、春と秋に欠かさず続いている厳かな儀式を見守った。
釈菜は、廟内の孔子と孟子ら4人の弟子の像に、供え物をささげる儀式。市職員でつくる雅楽隊の演奏が響く中、中国・明時代の衣装を着た横尾俊彦市長らがふんする「献官」や「祭官」が、ギンナンやキジ肉、タケノコなどの食べ物と甘酒を、創建当時から使われている青銅製の祭器に入れて供えた。約1時間をかけ、93の儀式を行った。
境内では、地元の東原庠舎(とうげんしょうしゃ)西渓校の児童と生徒が、孔子の生誕地、中国・曲阜(きょくふ)市から取り入れた「釈菜の舞」や中国の民俗楽器「腰鼓(ようこ)」の演奏を披露したほか、揚琴(ようきん)の演奏、児童と老人クラブによる「参列生徒の唱歌」もあった。
昨年11月から腰鼓を練習してきた6年の清永知愛さんは「(振りの中の)戻りジャンプを意識し、うまくできたと思う。伝統を知ることができて良かった」と話した。(古川浩司)