「第78回かすみがせき佐賀会」で、日本政治の対立軸の変遷と展望について語った、国際政治学者の三浦瑠麗氏=東京・内幸町の日本プレスセンター

 中央省庁の佐賀県出身者や県内勤務経験者らでつくる「かすみがせき佐賀会」(座長・中尾清一郎佐賀新聞社社長)の第78回例会が16日、都内で開かれた。国際政治学者の三浦瑠麗氏が日本政治における対立軸の変遷について解説。安全保障を巡る伝統的な対立軸があいまいになる中で、有権者の意識の変化を捉えた戦略の構築が、各政党に求められているとした。

 三浦氏は安全保障を巡る「リアリズム対リベラリズム」という伝統的な対立軸を見た時に、右派は55年体制に象徴されるように「自民党が地位を築いた」と説明。一方、多くの国民が日米同盟を容認していく中で「左派は労働争議や環境問題が改善されれば訴求力を失う。軸が揺れ動いてきた」と指摘した。

 三浦氏は、経済的価値観と社会的価値観の二つの軸に基づく、有権者の価値観マッピング(散布図)研究について解説。一般有権者が比較的、均等に分布しているのに対し、公明、立憲民主、れいわ、共産などの政党が「リベラルに混み合い、有権者の4分の1を取り合っている」と分析、戦略の必要性を説いた。

 例会には佐賀県の山口祥義知事ら約50人が参加。講演後の懇親会では参加者が近況を報告し合い、郷里の思い出も交えながら親睦を深めた。(大橋諒)