子どもの健やかな成長を願い、こいのぼりとともに天高く掲げる「五月のぼり」。小城市牛津町の城島旗染工では、制作が仕上げに入っている。工房には職人による絶妙な配色、手染めで描かれた勇ましい武者や竜などの絵が並ぶ。
今年は辰(たつ)年の子どもが初節句を迎え、竜の絵柄が人気だ。長さ7・5メートル、幅85センチの大型サイズが主力で、室内用の小型サイズも注文が多いという。小型の中には「故郷の佐賀の伝統的なものを」と鍋島小紋があしらわれたのぼりもある。
同工房は120年余り続き、伝統の手染めを受け継いでデザインから型彫り、染め、縫製まで全てを手がける。4代目の城島守洋社長(70)は「季節の風習の祝い方は少しずつ変化している。それに対応しながら、変わらない子どもへの愛情を表現し、伝統を守り続けていけたら」と話す。(写真と文・西浦福紗)