シリア国内の現状や支援活動が報告されたトークイベント=佐賀市のシアター・シエマ

 アサド政権崩壊後も混乱が続くシリアの現状を伝えるトークイベントが13日、佐賀市のシアター・シエマで開かれた。2012年からシリアの難民支援を続ける「難民を助ける会」(AAR Japan)の景平義文さん(49)が「シリアは転換期を迎えている。各国の支えが必要」と訴えた。

 シリアでは昨年12月にアサド政権が崩壊し、暫定政府が発足した。13年に及ぶ内戦で多くのシリア人が避難を余儀なくされ、隣国トルコには今なお約300万人ものシリア難民が暮らしている。

 トルコに長年駐在する景平さんが、オンラインで複雑な内戦の情勢を解説し、難民の動向を報告。戦火を逃れるシリア人の実態を「国境検問所で普通の手続きなんかしていられない。有刺鉄線の隙間にスペースを作り、トルコに入っていく」と話した。

 難民となった人々はトルコのあちこちに散らばり、行政も所在の把握が難しいという。同会では食料などの生活必需品を配布しているが、「地元の人と一緒に通りを一本一本歩いて、難民を探している」と支援の難しさを伝えた。

 アサド前大統領と同じイスラム教アラウィ派と暫定政権の間で緊張が続いており、景平さんは「だいぶ落ち着いたと言われるが、内戦はまだ続いている」と語った。一部が解除された欧米諸国によるシリアへの経済制裁については「全面解除でなければ資金繰りが困難」と述べた。

 イベントには約20人が参加した。小城市の中田早紀さん(37)は「佐賀からでも何かできないか考えたい」と話した。(清川千穂)