最高金賞に輝いた吉田さんの三倍体カキ

全国牡蠣-1グランプリで最高金賞に輝いた吉田善史さん(左)と、金賞、銀賞を受賞した山下玄紀さん=唐津市役所

 養殖カキの日本一を決める「全国牡蠣(かき)-1(ワン)グランプリ」で、唐津市のカキ養殖漁師2人がタイトルを獲得した。吉見丸(唐房)の吉田善史(よしふみ)さん(39)が生食部門でグランプリの最高金賞、海幸丸(肥前町)の山下玄紀(もとのり)さん(39)が加熱の2部門で金賞と銀賞に輝いた。通年で出荷できる「三倍体」のカキの味覚が評価された。

 全国牡蠣協議会(広島県)が昨年から開催し、今回は3月に東京・豊洲市場で開かれた。養殖の方式や生食、加熱などで9部門に分かれ、68の業者が競った。

 稚貝を1個ずつカゴに入れて養殖するマガキの「シングルシード方式」部門に参加した吉田さんは、通常の二倍体のカキを品種改良した三倍体を出品した。三倍体は卵を作らないため産卵によって栄養分を失わず、夏でも出荷できるのが特長。発達した貝柱の甘みと塩分のバランスが評価された。

 加熱の2部門に参加した山下さんは、三倍体のマガキがシングルシード方式で金賞、ホタテの殻に種を付けて海中につるす「カルチ式」で銀賞を受けた。

 2人は漁業の担い手を育成する県高等水産講習所(唐津市)の同期で、ともに19歳で漁師の道に入った。海水温上昇などの影響でカキの収穫時期が変化する中、三倍体の養殖に挑戦し、吉田さんが市内で初めて成功した。

 吉田さんは3人の子どもの名前から取った「綺(あや)」をブランド名に、東京のオイスターバーなどにカキを販売している。日本一の称号を手にし、「生産体制の強化と販路拡大を目指し、唐津のカキを世界に発信したい」と意気込んだ。

 山下さんは「切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間と受賞でき、うれしく思う。海の環境に対応し、これからもおいしいカキを届けたい」と語った。2人は14日、峰達郎市長に受賞を報告した。(松岡蒼大)