Q 佐賀弁で「イゲ」って何のこと?
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A 佐賀方言では「トゲ(刺)」のことを、「イゲ」という。
「喉ニ、イヲノ イゲノ ササッテ トレン」。従って、この例のような魚の煮ものの骨も「イゲ」であるし、栗のイガもまた「イゲ」である。
おそらく、「イゲ」は「イガ」の転化であり、「イガ」は「イカ」の濁音化であろう。『枕草子』に「くりのイカ」(恐しきもの)とあり、『和名抄』にも「栗刺。久利乃以加」と見え、『日本釈名』の下には「毬(いが)は怒りなり。恐るべきをいう。筑紫にてイゲと云ふ」と記してある。
つまり、「イゲ」は「イガ」であり、「イガ」は「イカ」である。「イカ」は「イカシ(厳)」と同じ発想のものかと思われる。
■出典:志津田藤四郎著「佐賀の方言」(佐賀新聞社刊)