佐賀県を舞台にした映画「ら・かんぱねら」のヒットが続いている。1月末に佐賀市の映画館で封切られると評判が口コミで広がり、映画を支援する会によると入場者数は1万7500人を突破した。上映期間は6度延長され、多くの県民の心をつかんでいる。
映画は、52歳でピアノを始めてリストの難曲「ラ・カンパネラ」を習得した、佐賀市川副町のノリ漁師・徳永義昭さん(64)の実話を基にする。ピアノで夢を追う主人公を演じる伊原剛志さんと妻役の南果歩さんの佐賀弁での熱演や、伊原さんの演奏シーンが見どころ。自然と向き合うノリ漁の厳しさも描く。
撮影は県内各地で行われ、鍋島直正の銅像や干潟よか公園などが登場。佐賀の魅力を再発見できる内容になっている。製作には多くの県民や企業が協力し、エンドロールでは千以上の個人や団体の名前が流れる。上映している佐賀市のイオンシネマ佐賀大和では、最後まで席を立たずに見入る観客が多いという。
映画を見た佐賀市の西山朋恵さん(55)は「ノリ漁の一つ一つの場面が丁寧に描かれていた。努力する大切さや家族愛にも感動した」と魅力を語る。多久市の市丸小百合さん(58)は「地元の有明海の良さを再認識した。佐賀県民に見てほしい映画」と話す。
イオンシネマ佐賀大和のスケジュールは1週間ごとに決まり、「ら・かんぱねら」は17日まで上映されることが決まっている。福岡県などの映画館でも上映中で、佐賀市のシアター・シエマでも25日に公開される。
支援する会の川原常宏事務長は「何回見ても元気付けられる映画だと感想をもらう。2度目、3度目と劇場に足を運び、さらに映画を盛り上げてほしい」と話す。(坂本有佐)