職場や学校、家庭、友人、恋愛、SNS…さまざまな場面で人と関わらなければならない。だからだろうか、「すべての悩みは対人関係の悩みである」という言葉があるぐらい、人間関係の悩みはいつまでも尽きない。
著者は結論として「人間には醜い部分があるのだから、少し離れてつながろう」と述べている。友人や家族、恋愛との上手な距離の取り方や考え方、そしてどうすれば気楽に生きられるのか…。生きづらさについて追い続けてきた自身なりの考えを紹介している。
特に興味深かったのは、居場所の大切さについてだ。著者いわく“ゆるいつながり”の居場所を二つ持つといいそうだ。そうすることで、職場や学校、家庭といった“固いつながり”が自分に合わなくても、逃げ場所が他にあるだけで、心理的なゆとりができるそうだ。これには大きくうなずいた。
鶴見さんの文章は優しい。きっと自身も苦しい経験を経て今に至るからだと思う。もっといいかげんでいい。のんきになってもいい。そうつづられた文章のおかげで、明日への希望がちょっと見えた気がした。
近年は特に、SNSの普及などから、他人との心の距離が良くも悪くも近くなったように感じる。苦しくなったら離れることも一つの立派な選択肢だ。無理してまで真面目でいる必要はない。(筑摩書房/1540円)
(コンテンツ部・池田知恵)
