「翠青磁麦紋八角鉢」を手にする熊本義泰さん=鹿島市の熊本義泰窯

 日本工芸会正会員の熊本義泰さん(80)=鹿島市=が、自宅ギャラリーで年に一度の窯出し展を開いている。独自の研究で緑に発色させた青磁など、約200点を展示している。30日まで。

 「翠(すい)青磁(せいじ)麦紋(むぎもん)八角鉢」は、器に流れる釉薬の厚さで麦の図柄を浮かび上がらせた。爽やかな青磁のぐい飲みや、内容物の熱を保持しやすい陶器の茶わんなども並ぶ。

 熊本さんは天目釉を学んでいたが、「このままでは師匠の枠の中から抜けられない」と、37歳ごろから青磁に転向して緑を出す研究に熱中した。理想とする「すかっとした緑」を出すため、今も冷却方法や土のブレンドを試行錯誤しており、成功するのは全体の半分ほどという。「もっといい物ができるはずだと今も信じている」と力強く語る。

 窯出し展は午前10時から午後6時まで、入場無料。問い合わせは熊本義泰窯、電話0954(63)2029。(花木芙美)