黄道十二星座のサイン

 私は「うお座」あなたは「さそり座」、今日の運勢は…。誕生星座の会話は、時候のあいさつのように見かけます。1年を12に分けて星座が当てはめられており、その期間に生まれると誕生星座が決まります。このルーツはきわめて古く、今からおよそ4000年も前の古代メソポタミアに求められます。

 太陽はまぶしすぎて、昼間に星座は見えませんが、太陽は背景の星空の中を動いています。実際には地球が太陽を周回しているのですが、地球から見ると太陽の方が動いているように見えているのです。その星空の中の太陽の通り道を「黄道(こうどう)」と呼び、誕生星座はこの黄道上に設置されたので、誕生星座の正しい名称は「黄道星座」といいます。こんな古代から、黄道が定められていたのは、太陽の動きが季節に関わっていて、農耕のために季節を知る智恵だったからです。

 太陽だけではなく、水星、金星、火星、木星、土星などの惑星も黄道に沿って運行しています。古代メソポタミアの人たちは、黄道星座とこれらの惑星の配置から占星術を考案しました。これが現在に至る「星占い」の起源となっています。今から3000年前の古代ギリシア時代、太陽が位置していた星座が誕生星座で、春分の日に太陽は「おひつじ座」にありました。地球の地軸の運動によって、現代では隣の「うお座」に移動しているのですが、春分から始まる誕生星座が今も「おひつじ座」であるのも、占星術が「おひつじ座」から始まるのも古代の名残なのです。

 文・早水勉(佐賀市星空学習館副館長)

 

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