佐賀県内に支社や支店を置く大手企業の支店長らでつくる「ブランチ佐賀さかえ会」(座長・中尾清一郎佐賀新聞社社長)の例会が19日、佐賀市のホテルニューオータニ佐賀で開かれた。今年で創立30周年になる認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」(本部・佐賀市)の岩永幸三理事長(62)が講師を務め、1型糖尿病の患者支援や研究助成の取り組みを紹介した。
1型糖尿病は突然発症、主に注射による1日数回のインスリン補充が生涯にわたって必要になる。岩永氏は、娘が3歳で発症した当時を振り返りながら「原因不明で大変な病気。宣告された衝撃は相当なものだった。患者と家族に希望を持って生きてもらえる社会を実現するのがわれわれのミッションだ」と語った。
患者が直面する課題として公費による医療費助成が20歳で終わることを挙げ、「毎月2、3万円の自己負担が発生し、生涯で2千万円になる」と説明。昨春から全国で初めて、県内の若い世代を対象に医療費支援を始めたことを紹介した。
同法人は1型糖尿病の治療や根治、予防に向けた研究に助成し続け、累計で約8億7千万円に上る。医療用ブタを活用した「バイオ人工膵(すい)島(とう)」の移植に関し、2035年には希望する患者が日帰りで受けられるようにする展望も語った。
約30人が聴講。同法人は県のふるさと納税制度で寄付を募っており、協力を呼びかけた。(円田浩二)